麻布十番にある老舗中の老舗『総本家 更科堀井』からの暖簾分け。
「更科」の看板を揚げるだけあって、蕎麦の実の芯の部分を挽いた粉で打つ、喉ごしのいい真っ白な更科蕎麦が売りである。少しつなぎを加えて歯ざわりをよくしたせいろ、太打ちの粗挽き蕎麦、かぼちゃやモロヘイヤなどを用いた変わり蕎麦もある。
　繁華街・片町という立地、金沢では珍しい夜のみの蕎麦処とあって、子供連れはまずこない。カウンター５席とテーブル２卓のこぢんまりとした店内には、カップル、夫婦連れ、仕事仲間といった客がひしめき合う。午前０時をすぎてから、店前に行列ができることも少なくない。
　「金沢の蕎麦の味をつくりたい。まだまだやりたいことはたくさんあります。」という店主、藤井誠さん。
　バーとも居酒屋とも違って長居は無用。蕎麦屋のスタンダードを知るには、まさにぴったりの一軒である。

★おすすめ情報
・蕎麦各種
二八そば、御前そば、生粉打ち、粗挽きそば、かぼちゃそば、モロヘイヤそば

・穴子天ぷら　700円
京都や明石、東京からの穴子をさくっと揚げている。身があってほくほく。出汁でも塩でもお好みで。

・板わさ　400円
藤井さんが「味に惚れて仕入れている」という、小田原産のかまぼこ。飽きのこないシンプルな味わいの酒肴。

・玉子焼き　800円
８種類のかつお節、昆布などを湯の中で煮出した出汁でつくる。口の中に入れるとたちまち旨味が広がる。

・焼き海苔ウニ付き　750円
桐箱の中には焼き海苔が湿気るのを防ぐため、炭火が仕込まれているので、いつまでも香ばしい。