公開初日の6月20日(土)に想田監督をお招きして、舞台挨拶とトークイベントを開催しました。多くのお客様にご来場いただき、誠にありがとうございました。想田監督の写真とともに、トークイベントの一部を公開します。映画『精神』は7月10日(金)までの公開です。お見逃しなく!!
●なぜ“精神”をテーマに選んだのですか? 想田監督(以下、S):自分自身も燃え尽き症候群になったことがある。自分が精神的に病んで、今まで病気に対してもっていたイメージが180度変わった。誰にも可能性がある話。いろんな人の話をきくうちに、今疫病のように日本中に蔓延しているもののように感じた。それなのに、カーテンでさえぎられているような感じ。カメラの力でそれを剥ぎ取れないか?と思った。 患者さんたちは確かに苦しい。でも、映画のなかにでてくる菅野さんの詩なんかを聞いているとその苦しみと切り離せないところから生まれる深い言葉がある。苦しみを経験した人にしか生みだせないものがある。そういうものを撮れたら、私たちの中に価値の転換がおこるのではないか。それを表現できないか、とも思った。 ●モザイク処理なしということで苦労された点について S:モザイクをかけるということで、撮る側は被写体に対して責任を負う必要がなくなる。 モザイクをかけて「○○病歴○年」と明記すれば、1人の人間が記号化してしまう。モザイクは被写体を守る、というより被写体との関係をたつことができる・・・撮る側を守る行為。それがだんだん身にしみてわかってきた。その人がそのまま映画に出演されることで、その人の人生を自分が背負うことになる。 映画を完成させた後も、出演された方との関係は続いている。こらーる岡山に行って、車座になって話あう機会をとるようにするし何かあると携帯にも電話がかかってくる。それには向き合っている。彼等が“今”どんな気持ちか?ということとは、これからもずっと向き合っていくことになると思う。 ●映画を作る前と後で監督自身の中で心境はどう変わっていったのでしょうか? S:カメラを廻したのは70時間。それを2時間にしないといけない。68時間削っているわけです。自分がどう変わっていったか?ということをこの映画にそのまま表現した。 ●次回作はどういう構想があるのでしょうか? S:演劇をテーマにとっています。平田オリザさんの劇団が好きでその世界をとっています。
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「精神」 ●6/20(土)〜6/26(金) 12:20/16:30 ※6/20(土)のみ12:15/16:50 ●6/27(土)〜7/3(金)17:45 ●7/4(土)〜7/10(金)16:05 [2008/アメリカ・日本/2時間15分] 監督・撮影・録音・編集・製作:想田和弘 出演:「こらーる岡山」のみなさん、他 公式ホームページ →→→ http://www.laboratoryx.us/mentaljp/index.php ★第59回ベルリン国際映画祭 フォーラム部門正式招待作品 ★釜山国際映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞受賞 ★ドバイ国際映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞受賞 ★マイアミ国際映画祭 審査員特別賞受賞 ★ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭 異なる宗教者からなる審査員団による賞 受賞 カメラがじっと目を凝らす。固く閉ざされていた精神科の扉が開く! 『選挙』で世界を沸かせた想田監督が挑む観察映画第2弾。 これまでタブーとされてきた精神科にカメラを入れ、「こころの病」と向き合う人々がおりなす悲喜こもごもを、モザイク一切なしで鮮烈に描いた日本初のドキュメンタリー! 外来の精神科診療所「こらーる岡山」に集う様々な患者たち。「正気」とは? 「狂気」とは? 心の傷に果たして包帯は巻けるのだろうか? |
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